個人的事情につき“50センチ以内”禁止
…ちょっと待て。
俺は神に誓って他の女の髪になんて触れていない。
それににおいがどうこう言われるほど近付いた記憶すらない。
いや、そんなことより。
彼女のこの表情はなんだ?
これって、ひょっとして…。
「お前、ヤキモ…」
「言わないでくださいーっ!!」
「んうっ!?」
俯いていた彼女が。
この言葉の続きを言わせまいと、俺の口を自身の手で塞いだ。
この行為で、俺は確信した。
彼女は“ヤキモチ”を妬いていたのだと。
熟れすぎたトマトみたいに真っ赤に染まった顔が。
泣きそうな目をして俺の目の前にある。
どうすんだよ、もう。
可愛くって、可愛くってどうしようもない。
今すぐどうにかしてやりたい。
「…バカだな、ホント」
俺は彼女の腕を引き。
緩みそうになる顔を誤魔化すようにそのまま抱き寄せた。