個人的事情につき“50センチ以内”禁止
私限定
「…バカだな、ホント」
課長の呆れたような声と一緒に、私の身体は抱き寄せられた。
バカなのはわかってます。
課長が呆れているのもわかってます。
でも。
課長が触れていいのは私だけ。
課長に触れていいのも私だけ。
そう思っていたのに。
課長が他の子の髪に触れているのを見たら。
自分でも手に負えないくらいグチャグチャでドロドロしたものでいっぱいになってしまった。
「…モヤモヤして八つ当たりする前に言え」
「え…?」
「言わなきゃ、わかんねぇだろうが」
頭頂部に唇を落としているのか。
頭に課長の声が響く。
「…嫌いに、なりませんか…?」
「ならねぇよ。惚れた女に嫉妬されるなんて男冥利に尽きるだろう?」
だから…、と言葉を続けた課長は。
「思うことはちゃんと言え」と。
念を押すように言った。