個人的事情につき“50センチ以内”禁止

「他の子に触らせないでください」

「それから?」

「においがわかるほど近付かないでください。半径50センチ以内は立ち入り禁止です」

「…50センチって結構あるぞ?」

「ダメです」

「…あとは?」

「…髪は、私のだけ触ってください」





私の言葉に応えるように。

課長は私の髪を撫でてくれた。

そして。

何かを思いついたように言った。





「…お前が見たのって、昼休み?」

「そうです」

「会議室の前?」

「…はい」

「…それなら、髪にゴミついてないか見てくれって頼まれたんだよ」





気まずそうに、バツが悪そうに課長が言葉を吐いた。

…それって。

私が前に中村くんに埃とってもらったのと同じですよね…。





「「…プッ」」





課長も同じことを思ったのか。

2人同時に吹き出してしまった。

その後。

課長がため息混じりに呟いた。



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