指先に願いを



その手は今日も、私の頭にそっと触れる。



「おーい、有村。有村起きろー」

「…ん…、」



暖かな日差しの差し込む、お昼の室内。その声とポンポンと軽く頭を撫でる手に起こされ、眠っていた私はそっと目を覚ました。



「…おはようございます、酒井さん」

「はい、おはよう。今日もぐっすり昼寝してたな、頬に跡ついてるぞ」

「……」



彼はそう笑って自分の右頬を指差す。窓に映る自分の顔を見てみれば、私の右頬には寝ている間についたのであろう服のシワの跡がくっきりとついていた。


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