指先に願いを
「いやー、でも毎日続けてみるものだな。最初はあんなに警戒してた有村がそこまで好きになってくれるなんて」
「あの…その、いつから?」
「初めて声かけた時から、ずっと」
「え!?」
「来る度姿見かけてて、気になってはいたけど話す機会がなかなかなかったんだよな。だからあの日も、結構勇気出して声かけた」
『この本返却してもらってもいい?』
私のことをずっと知っていてくれた、あの一言は彼の精一杯の勇気。
いつも触れるその手は、何も考えていないわけじゃない。溢れるほどの、彼の願いを込めていた。
「好きだよ、有村」
「…本当、ですか…?」
「本当。信じられないなら、何度でも言うし何度でも触れる。伝わるまで、繰り返すよ」