指先に願いを
「有村、おはよー」
「……」
翌朝、寝不足の目をこすりながら出勤してきた私の目の前に現れたのは、朝から無駄に爽やかな彼…酒井さんだった。
「…おはようございます。朝から元気ですね」
「お前は今日も眠そうだなぁ、またゲームかー?」
「はい、どうせまたゲームです。ほっといてください」
昨夜もまた遅くまでビビさんとゲームをしてしまった私は案の定今日も寝不足で、いつも以上に低いテンションで彼をあしらう。
「酒井さん、朝からくるなんて珍しいですね」
「あぁ、今朝はちょっと時間があるから。心配しなくても昼間もまた来るよ」
「私が何の心配をするんですか?」
我ながらとても可愛げのない言い方だと思う。けれどこれが性格なのだから仕方ない。
そう諦め手渡された本を受け取る私に、やはり彼は笑って私の髪を乱すようにグシャグシャと頭を撫でる。