となり
アイツの準備が終わり、久しぶりのアイツとの登校。
アイツの右側を歩く。
ひたすら話し続けるアイツの話を聞き流しながら。
「あ、そういえば喜嬉」
「なに」
「俺の席どこ?」
「私の隣」
「そっかそっか。授業中も楽しめるな!」
「授業中は先生の話聞く」
「喜嬉の前は誰?」
「モモ」
「後ろは?」
「ぶりっこ」
「あ〜、サキちゃんだっけ?」
「ん」
名前を言わなくてもわかるらしい。
アイツはいつも私のことを聞いてくる。
もちろんアイツ自身のことも聞いてもないのに話してくるが。
だから私はアイツのことを誰よりも知っている自信があるし、
アイツに誰よりも私を知られている自信がある。
アイツの身長も体重も…
いつまでサンタを信じていたかも…
いつから1人でトイレに行けるようになったかも…
アイツを知れるこの朝の時間は大切なのかもしれない。
そして私は、この朝のアイツのお喋りが以外と好きだ。