となり
「ねぇ喜嬉ちゃん。ちょっと来て?」
「…もうすぐ授業始まる」
「スグ終わるから‼︎ね⁉︎」
笑顔で腕を強く引っ張るぶりっ子。
しょうがないからコクっと頷いてぶりっ子の後ろをついて行く。
教室を出て、気づけば校舎の外。
少し離れた、今は使われてない旧校舎。
不気味な雰囲気が漂うその建物の中に、ぶりっ子は何の躊躇もなく入って行く。
その後ろをついて一歩、また一歩と足を進める。
…どこまで行くんだろうか。
とっくに授業開始を告げるチャイムはなった。
「ココ入って」
指定されたその場所は、古びたソファや一枚板のテーブルなどが雑に置かれていた。
入り口に書かれてあった文字は『生徒会室』だった。
昔の生徒会室か…。
だからソファとかテーブルとかあるのか。
「何で呼ばれたか、わかる⁇」
そう言うぶりっ子に首を振って返す。
呼ばれた意味とかわからない。
この部屋に入った瞬間に何処からか出てきた、十数人の女達も知らない。
ただ、少し…危機感を感じる。
良くないことが起こる、そんな予感。