記念すべき、100回目のキス
キスも温もりも。

私は君を、アキと呼ぶ。

君は私を、カズと呼ぶ。


よく言われるのは、名前と性別が逆なんじゃないの?と。


秋の季節に生まれた君は、秋と名づけられた。

私はと言うと、それは漢字から大体のことを読み取っていただければと思う。


和希。


和むとか希望とか、そこらへんだ。



「カズ~」


君は、甘えん坊さんだ。


クラスのみんなから好かれていて、可愛くて、だけどやっぱり男の子だった。


「ん?」


「今日、うちで遊ぼう~」


「いつも、放課後は遊んでるじゃん」


クラスの冷やかしが始まって、そういうことに慣れていない私は、アキの手を引っ張り、教室を出た。



「カズって本当に、照れ屋さんだね」


「じゃあ、アキは甘えん坊さんだ」


君は背が高い。


飛び抜けて高いわけじゃないけど、160センチもない私から見れば、男子は皆大きい。


だから、必然的に立って話す時は、若干上目づかいになってしまう。




ちゅっ。



唇と唇が触れる音がした。

いきなりすぎて、目も開けっぱなしだった。



「俺、その目に弱いんだよね」



そう言って、笑うアキ。

君はやっぱり、男の子。


君は・・・・・・ずるい。


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