記念すべき、100回目のキス
「カズが告られてた時にしたキス、
あれね99回目なんだよね。
で、カズからしてくれたキスが、
記念すべき100回目ってこと」
唖然とする私に、アキは続ける。
「だってさ、あんな格好つけて、
記念すべき99回目だって言っても、
何かロマンチックに欠けるし」
確かに、と言いながらうんうんと頷いた。
「でも、100回目がカズからって、
最高だよね。
照れ屋なのに、頑張ったんだね」
アキは私の頭をくしゃとさせて、撫でた。
「うん。
すっごく、頑張ったんだから。
それにね、私からは、初めてだったんだよ」
「カズ?
俺は、カズと一緒にいるときは、
どんなときだって、
ここがうるさいんだからね」
そう言って、私の手をアキの左胸のあたりに置いた。
本当だ、どきどき言ってる。
そう言うと、君は少し顔を赤くして、言った。
「ほらね?
カズに触られると、それだけで、
俺の顔は赤くなっちゃうし」
少し意地悪だけど、照れるアキの耳元で囁いた。
「私だって、
同じくらい、ドキドキしてるんだからね」
ちゅっ。
また君の唇が触れた。
今ので、記念すべき110回目。
――end――