記念すべき、100回目のキス
君は手に持っていた麦茶を、小さな丸机に置いた。


「ねえ、カズ。
今日って何の日か知ってる?」


「付き合った日じゃないよね?」


本当は知ってたけど、わざととぼけて見せた。


だけど、アキは真剣な表情を崩してはくれなかった。



「初めて俺らがデートして、
初めて俺らがキスした日だよ」


覚えてるよ、ちゃんと。


中三の夏に君と映画を見に行って、その帰りにキスしたこと。



顔がお互い真っ赤になりながら、
唇がきゅっとなって、私きっと、
注射するときみたいな顔してた。


忘れるわけないよ。


「次に進もうよ」


君はそういうと、ゆっくりと私の腰に手を回した。


いつもよりも強くて、ちゅっなんて可愛らしい音の出ないキスをした。



いいのかな?


進んじゃっても。



どこかでそう思う気持ちもあった。


そして気がつけば、私は君の体を突き放していた。


大分、服ははだけていて、する一歩手前だっただろう。



どうして?と問いかけるような表情で、君は見つめてきた。



そんな君を見ると、私だって胸が張り裂けそうになる。




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