記念すべき、100回目のキス
あれから、1週間、私とアキは一言も会話を交わしていない。


同じクラスだからと言って、関わりを持とうとしなければ、こんなものなのか。


皆は言う。


あー喧嘩?大丈夫、大丈夫。
すぐに、アキが謝ってくれるって、と。


本当に?


皆の知ってるアキは可愛いよ。


だけど、私に強いキスをするアキは、違うよ。


可愛さの欠片もない。





なのに、何でこんなに、私はアキを見てるのかな?



何でこんなに、君の後ろ姿を見ただけで、胸の鼓動が速くなるのかな?



君の声を聞いただけで、何で耳が赤くなるのかな?


君が女子と話しているのを見ると、胸がきゅっと押しつぶされたように痛くなるのは、どうして?



君は可愛い。


だから、君を思う女子が私だけじゃないことくらい、知ってる。


だけど、その笑顔は、私だけに向けてよ。



それを見ているのが辛くて、教室を出た。


廊下を早歩きで歩いていると、右腕を強く引っ張られた。




アキだと思った。


ううん。


アキが良かった。




< 6 / 11 >

この作品をシェア

pagetop