記念すべき、100回目のキス
「和希、大丈夫?」


アキじゃなかった。

アキは私を和希とは呼ばない。


顔をあげたら、いたのは中学3年間同じクラスだった男友達だった。



「何が?
別に、普通だよ」


八当たりなことくらい、重々承知だ。


「お前、アキと別れんの?」


「うるさい。
ほっといてよ」


握られていた腕を、振りほどいた。


出来れば今は、誰とも話したくない。



「ほっとけねえよ。
ずっと前から、好きだったんだから」


おそらく最大限に目を大きくして、彼を見つめたに違いない。


「俺の方が、アキより前から、
アキ以上にお前が好きだった。
俺にしとけよ」


告られたことがなかったわけでもないけど、友達から告られたのは初めてだ。


「何、言ってんのよ。
あんた、彼女いたでしょ?」


「それは、和希にアキがいたから」


理由になってないよ、と思いつつ、返答に困る。



私にはアキがいるから、と断言出来ないのが、辛い。



だけど、私例え君の彼女じゃなくなっても、
やっぱりアキが好き。


ごめん、と言おうとしたとき、左腕を引っ張られた。


ああ、今度こそ君だ。





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