記念すべき、100回目のキス
ちゅっ。
君の唇が降ってきた。
「ごめんね。
カズは俺のだから。
それで俺は、
もっとカズのものだから。
ちなみに今のキスは、
記念すべき100回目」
「そうなの?」
私が聞き返すと、君は笑顔で言った。
「そうみたいだよ」
それより、と君は前を指さしながら言う。
「あいつ、いいの?
何も言わずに去ってったけど」
「いいよ。
私にはアキがいるから」
そう言って、照れ屋な私も少し頑張ってみた。
背伸びをして、自分からアキにキスをしたのだ。
「今のは、記念すべき101回目」
「もしかして、アキ全部覚えてたりする?」
「当たり前だよ。
俺、こないだ、すごく傷ついたんだから。
カズは覚えてないのかあって。
俺これでも、繊細なガラスのハートの持ち主なんだよ?」
「ねえ、アキ?
サボっちゃおっか。
それで、アキの家、行こ?
こないだの続きしてあげても、いいよ?」
君は、喜んで!と嬉しそうに言うと、私の右手を引っ張った。
君いわく、消毒、らしい。
何のことだか、と私にはよく分からなかった。