hug
所謂、ゲリラ豪雨だ。
雨は、ポツリポツリからあっという間にザーザー降りになった。



「ふうちゃん!急いで」


僕は、ショッピングモールではなく、行き先を変更した。



「何!?どこ行くの?」



もたつくふうちゃんの手をギュッと握って、夢中で走った。



そして、自分の家にたどり着いた。大学まで実家からは通えないから、僕は独り暮らしをしていた。



「ここ、むーさん家?」


僕が住んでいるのは、学生向けの古い小さなアパートだ。雨風しのげたら良いと思っていたけれど、彼女に見られるのは、少し恥ずかしかった。



でも、そんなことを言っている場合ではなかった。



ふうちゃんのブラウスが雨に濡れて、肌にくっついていたからだ。



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