hug
「うん。古いし、狭いけれど…」



階段を上り、2階のいちばん端が、僕の部屋だ。ガチャガチャと鍵を開ける。ちょっともたついたのは、雨でかじかむ手のせいだけではない。



「おじゃまします…」



僕は、部屋に物を置くのが好きじゃないせいで、わりと片付いていた。



「身体、これで拭いて」


ふうちゃんに大きなバスタオルを渡した。



「ありがと」



そう言いながら、クシュンとかわいいくしゃみをした。



「あっ、寒い?シャワー浴びたほうがいいね」



「でも…着替え…」



雨に濡れた髪、ブラウス…僕は、ふうちゃんを直視できないでいた。



「着替えは、ジャージか何か適当に用意する!」


僕は、そう言うと、ふうちゃんの背中を押して、風呂場に追いやった。



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