運命を画策した堕天使
パタンとドアが閉まる。
あの後、颯ちゃんの部屋に移動した。
私はベッドに腰掛けて、颯ちゃんを見上げる。
「あ、あの、颯ちゃん、」
「うん、なに?」
「さ、さっきの、」
「クスクス、二葉、まだわからないの?」
「わからない、です。」
正直に答えれば、私の隣に颯ちゃんが座った。
顎に手をかけられて、視線が絡み合う。
颯ちゃんの瞳が、金色になっているのに気付いた。
「そ、颯ちゃん!」
「さすがに鈍い二葉でも気付いたね。」
「・・・鈍いは余計だよ、そ、それより、目が、」
ちょっとだけ拗ねたように言えばクスクスと颯ちゃんは笑う。
「二葉、今日の歴史博物館、懐かしかったね。」
「・・・え、」
顎を固定されたままの姿勢で、私は颯ちゃんの言葉を頭の中で反芻する。
・・・懐かしい、なんて表現、普通はしない。
私みたいに、記憶があれば、
・・・。
「颯ちゃん、もしかして、前世の記憶が、あるの?」
「そうだよ、二葉だけだと思っていた?」
「うん、」
素直に頷けば、ちょっとだけ苦笑いした颯ちゃんが、真剣な眼差しで言った。
「ずっと追いかけていた、」
「・・・。」
「君の魂を、」
そっと颯ちゃんの顔が近づいて来て、私は目を閉じた。