52歳のファーストキス
そこは遠藤さんが入院している個室だった。

大きな窓には、オレンジ色に輝く夕日、それを優しく向かい入れる金色の海があった。


「この大きな窓、絵画みたいでしょ?」

「えぇ」

「1日の中で、今が最高に贅沢な時間です」


私はいつの間にか、その絵画ではなく、満足げに美しい絵画を眺める遠藤さんの横顔を見ていました。
私にとって、今が人生で最も贅沢な時間。
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