52歳のファーストキス
Ⅱ
「斉藤さん、斉藤さんっ!」
自分の名前を呼ぶ甲高い声にビクッとなる。
思わず背筋が伸びた。
「は、はいっ!」
どもるクセも昔から変わらない。
「大丈夫ですか? 聞いてますぅ?」
イラつきながらも、小首をかしげる仕草は忘れないこの女は確かもうすぐ30になる。
「はい。あの、ごめんなさい。また何か?」
私よりずっと年下の同僚から仕事のミスを指摘されることなんて、日常茶飯事。
普段はほとんど無視されている。
この女が私に話しかけてくるときなんて、たいてい私がミスをしたときだ
自分の名前を呼ぶ甲高い声にビクッとなる。
思わず背筋が伸びた。
「は、はいっ!」
どもるクセも昔から変わらない。
「大丈夫ですか? 聞いてますぅ?」
イラつきながらも、小首をかしげる仕草は忘れないこの女は確かもうすぐ30になる。
「はい。あの、ごめんなさい。また何か?」
私よりずっと年下の同僚から仕事のミスを指摘されることなんて、日常茶飯事。
普段はほとんど無視されている。
この女が私に話しかけてくるときなんて、たいてい私がミスをしたときだ