ホワイトデーのチョコレート『短編』
「――え、何これ…………」
「ゴメンね、汐空ちゃん」
男子がにこぉっと笑う。
「な、何よ、これ。とってちょうだいよ!」
私の腕には、手錠が掛かっている。
「汐空ちゃん、僕らがあげたチョコレート、おいしいって言ったよね。
――じゃあ、これは何かなぁ?」
「――あ……」
男子の手には私が捨てたチョコレートがあった。
そして、もう片方の手には―――――
ナイフがしっかりと握られていた。