その指先も仕草もすべて
寒い中、連絡も寄越さない俺のことを待っていてくれたんだ。
胸の奥がどうしょうもないくらいにきゅーっと締め付けられる。
「雪が強くなってきたから傘を買いに行ってたの。待たせちゃったよね?」
違う。
待たせたのは俺の方だ。
指先がこんな冷たくなるくらい。
それなのに、ちょっと申し訳なさそうに眉を寄せる彼女の仕草に胸が熱くなる。
冷えた指先も、彼女の仕草も。
その全てが堪らなくて、愛しくて。
彼女の腰に腕を回すと、その華奢な身体を折れそうなくらいにきつく抱きしめた。
「ショウくん?」
戸惑い気味に俺の名を呼び、彼女が腕の中で身じろぐ。
たとえ嫌がられたとしても、腕の中に閉じ込めた彼女を離したくなかった。