Sweet*Princess
「どうしよう……」
「さぁ?呼ぶしかないんじゃない?」
帰り道。
うなだれる私に、美帆はさほど興味も示さずに言った。
絶対絶対絶対怒られる。
しかも、あの娘たちのことだから絶対に“王子様の部屋見せてー!!”とか言うんだろう。
あそこは唯一、二人だけの空間なのに……
って、なんか性格悪いな、私。
ぶつぶつ一人で呟いていると、隣の美帆が急に立ち止まった。
ふと顔を見ると、青ざめた顔に見開かれた瞳。
「りょ、すけ…?」
………え?
斎藤さんは今日迎えに来れないって………
「うそ……」
美帆の視線の先には、綺麗な女の人と腕を組む斎藤さん。
なんで?せっかく美帆とうまくいったのに……
「美帆……って、あれ?」
隣にいたはずの美帆がいなくて、キョロキョロ見回すと、少し前方に姿を見つけた。
美帆の目は斎藤さんのほうに向けられたまま。
も、もしかして、追い掛けるつもり?!
頑張って追い付いて、質問を投げ掛けると“当たり前じゃない!”とすごい剣幕で言われた。
「やっと会えたの!本当の自分を見せられる人に!絶対離したくないの!!」
*