Sweet*Princess
学校に着いて、車を降りると
斎藤が俺を引き止めた。
「壱斗様、言わなくていいんですか?ほんとのこと」
「いいんだよ。俺のくだらない過去のことで、姫乃を苦しめることない」
「……あの女、まだいるんですよ?この街に」
「もう関係ないよ」
「…この間、俺の家に来たんです。言おうか言わないでおこうか、迷ってたんですけど」
………一瞬、まるで呼吸の仕方を忘れたかのように止まってしまった。
「な、んで……?」
「姫乃様との婚約のことを、どこかで聞いたみたいです」
「姫乃のことを聞いたのか?あいつが……」
「はい」
………なんで
なんで今更……
姫乃は関係ないだろ……
頼むから
頼むから、壊さないでくれ
今の幸せを………
*