Sweet*Princess
「ひっ!うぅ……」
「は?!何ないてんだよ、姫乃!」
私の涙に気付いた明斗くんは、焦りながらもゆっくり、手を私の頭の上に乗せた。
壱斗とは違う、小さな手。
なのに、温もりは壱斗の手に似ていて、一番安心して泣ける環境を作ってくれた。
「明斗、くん、ごめんね?ッ、私のせいで……あんなヒドイこと、言われて……」
「あんなやつらの言ったことなんて、ぜんぜんきかねぇんだよ。それよりも、つらいおもいしたのは姫乃のほうだろ?」
「明斗くん……」
「壱斗お兄ちゃんカッコいいからさ、たいへんかもしんねーけど……姫乃は壱斗お兄ちゃんだけしんじてればいいんだよ。そしたら壱斗お兄ちゃんは姫乃をしあわせにしてくれる。なんせ、壱斗お兄ちゃんはヒーローなんだから」
そう言った明斗くんの瞳は一番輝いてて、強くて、優しくて……
「明斗くん、壱斗のこと大好きなんだね」
ニコッて微笑むと、明斗くんは顔を赤らめて言った。
「好きっつーか……あこがれっつーか……いつもおれをたすけてくれるのは壱斗お兄ちゃんなんだ。おれは、あんなにんげんになりたい」
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