Sweet*Princess

3*疑惑




「壱斗も史斗も遅ーい!!」


豪華な料理が並べられた食卓で、雅斗さんが叫んだ。



確かに。


この料理の前で我慢しろって、無理かも。



お腹はグルグル鳴るし。



「「お腹空いたぁ……」」


雅斗さんと私の声がシンクロした。



その瞬間、ニヤリと口角の上がる、形のいい唇。



「姫ちゃん……気合うね」



いやいや、合うも何も


この状況に置かれたらみんなそう思うんじゃない?



「やっぱ、キスしちゃったからかなぁ………?」



ボボボっ



「なななんでそんなこと言うんですか……!」


明斗くん、トイレ行ってるからいいけど!



もし、もしバレたら……!



「プププ。顔真っ赤。焦りすぎ」





あ、焦るに決まってるじゃない!



「壱斗に言ったらどうするかなぁ?怒るかな?」


「絶対言わないで!!」


「わかってるよ。俺も姫ちゃんに秘密知られてるし?ただ少しだけ、見てみたいんだ。傷付いた壱斗の顔を」



………え?



「雅斗さん、壱斗のこと──…?」


「嫌い、なのかって?」



雅斗さんは自嘲するかのように、鼻で笑った。



*
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