Sweet*Princess



はしってはしって



きょうしつにもどった。


でも、あいつのすがたはない。



ほんと、どこいったんだよ……


って、つくえにふせたとき



カタンって小さなおとがした。



「陽菜、おまえどこに……って、どうしたんだよ、その格好!!」



きょうしつのいりぐちにたつ陽菜は


ふくがところどころやぶれていて、どろがついていた。



「あき、なんでいるの……?」


「いや、あの、それは……」



“おまえをまってた”なんて言えるほどすなおじゃなくて


くちごもると、きゅうに陽菜がなきだした。




「え、陽菜?!ほんとどうしたんだよ……」


あたまをなでようとした。




のに。




パンッ



そのてが、はらわれた。




「やだ……」


「は?」


「あきなんてきらい!だいっきらい!!」



え………?



陽菜が、はしりさる。


でも、おいかけるよゆうなんてなくて。



いま、なんていった……?



おれのこと“きらい”って……



マジかよ……




そこから、どうやったのかはわからないけれど



いつのまにかいえのまえに立っていた。



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