Sweet*Princess



「あまりにも似てるから……彼女が戻ってきたのかと思って、思わず君の後を……そしたら麻生の家に入って行くから、驚いて。まさかそんな偶然が、ってね」


戻ってきたって……



「彼女はどこかへ?」



私がそう聞くと、彼は微笑みながら目を伏せた。




「彼女は………




亡くなったよ」



「………ッ!!」



うそ……


だから、そんなに悲しそうな瞳を……?




「俺が殺したんだ。だから史斗も俺を憎んでる」


史斗さんが?


「いや、違うか……。史斗が憎んでるのは俺と彼女だ。俺達は……」



史斗を裏切ったから……。




秋山さんは



懸命に、絞りだすかのように声を出した。



強く握った私の手は汗で湿っていて、少し震えていた。




「史斗も彼女を愛してた。いや、愛してる、か。」



史斗さんが、あんなに冷たい雰囲気を持っている理由


誰にも心を許さない理由



それが、ここにある気がした。





「よければ、聞かせてもらえませんか?……何があったか」



好奇心?


史斗さんを救いたい?



……そんなんじゃない。



ただ、このままじゃいけない気がした。


きっと史斗さんは苦しんでるから……。



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