Sweet*Princess
コンコン
「史兄?入っていい?」
史兄の部屋のドアをノックすると、いいよ、という声が聞こえた。
史兄の部屋に入るのは何年ぶりだろうか。
4年前から、史兄は誰にも本心を見せなくなった。
彼女が亡くなった時は俺もすごく悲しかったけど
史兄の悲しみは俺の比ではないと思う。
「来ると……思ってたよ」
史兄はソファに座って、俺を見た。
その瞳は俺を嘲笑っている。
「なら…俺の言いたいこともわかるよな?」
「あぁ。“咲華とどういう関係?”だろ?」
「……あぁ」
史兄は鼻でフンと笑うと、足を組んだ。
「お前に関係あるのか?」
「………」
「昔の女を忘れられない……ってか?」
「そんなんじゃねーよ」
そんなんじゃない。
ただ、どうして咲華さんと一緒にいたのか
だってアイツは………
「初めての女だもんなぁ?その女が“兄貴”の俺と一緒にホテルに入ってった」
「………」
史兄は立ち上がり、壁にもたれる俺のすぐ前まで来た。
「罪な男だなぁ?壱斗。純粋な顔して、やることやってんじゃん」
「っせーんだよ!!」
俺は思わず、史兄の胸ぐらを掴んでいた。
*