Sweet*Princess
「綺麗ですね…」
「だな」
すぐ近くに空がある
見渡す限り、街の風景
小高い丘の上。
そこに美沙さんのお墓はあった。
「美沙は、この場所がすごく好きだった」
史斗さんが呟いた。
「ここで約束したんだ。結婚の」
ここにお墓を立ててほしいというのが美沙さんの希望だったらしい
美沙さんにとっても、やっぱりすごく大事な場所だったんだね。
「信じられないな。この下に、美沙がいるなんて」
史斗さんは愛しそうに墓石のあたりを見つめた。
「ごめんな、美沙。お前のことは絶対忘れないから」
初めて見た。
こんなに優しい史斗さんは。
これが、この人の本来の姿なんだ……
いくらか美沙さんに話しかけると、史斗さんは立ち上がった。
そして、私のほうを向き私の肩に頭を乗せた。
「少しだけ…このままで」
雲一つなく、晴れ渡った空
今の史斗さんの心の中はきっとこの空と同じくらい澄み渡っているんだろうな。
私は無意識に、史斗さんの頭を撫でていた……
*