Sweet*Princess
「…怖い顔して何言うのかと思ったら」
「………」
ここからは後ろ姿だけで、二人の顔は見えない。
てか、雅斗さんが私を?
絶対ありえないよ。
それに、雅斗さんには好きな人がいるはず
「好きかも……っつったらどうするわけ?」
………え?
まさか
「諦めて」
壱斗は冷たく、低い声で言った。
嘘だよ。
雅斗さんのいつもの冗談だよ。
「…お前にさ、そんなこと言う権利あるわけ?」
今度は雅斗さんが冷たく言った。
「どういう意味?」
「……咲華のことだよ」
咲華、さん…?
どういう意味?
咲華さんがどう関係してるの?
聞いちゃいけない。
そう思うのに
身体が言うことを聞いてくれない
「咲、華さんは…」
「初恋の女、だもんな?すっげー好きだった」
初恋…
ねぇ、壱斗
覚えてる?
『こんなに好きになったのは姫乃が初めてだよ』
あなたはそう言ったよね?
あの言葉は嘘だったの?
「お前が姫乃だけを好きなら何も言わねーよ。でもな、違うだろ?お前はまだ咲華を……」
「わかんねーんだよ…」
*