Sweet*Princess
壱斗の声が耳に響く
大好きな声のはずなのに
今は世界で一番残酷な声。
「姫乃を好きなはずなのに…、咲華さんのことになると今でも胸が震える」
ねぇ、壱斗
それは『咲華さんを今でも愛してる』って言ってるようなものだよ?
だって、私の胸も壱斗のことになると震えるの
……私の、片想いなの?
「それなら、俺は…」
雅斗さんの言葉が途切れる
正確には聞こえなくなった……かな
史斗さんの腕に、私の耳が塞がれたから
初めて聞く、史斗さんの心音
それはとても近くで聞こえて。
頭が混乱する
冗談かも知れないけれど、初めて知った雅斗さんの気持ち
ずっと信じてた、壱斗の気持ちが私に向いていないこと
今まで過ごした壱斗との日々が
壱斗との思い出が
すべて崩れていくような気がした。
「……もう聞くな」
「史、斗さん…ッ」
「俺がいる。俺がお前の傍にいてやるから…」
「うっ…うぇ…」
ごめんね、壱斗。
私もうわかんないよ……
*