Sweet*Princess
「俺が、そばにいてやるから」
史斗さんの優しい声
近くに聞こえる心音
「…好きなんだ、姫乃が」
こんな時に、さらに混乱させてしまうかも知れないけれど、…史斗さんは切なそうに下を向いた。
「俺の気持ちを利用したらいいよ。辛い時にはいつもそばにいてあげるから」
素直に嬉しかった。
そこまで想ってくれることが
私を支えようとしてくれることが
優しさが、私の傷ついた心に染み渡っていく。
「壱斗が好きなら、そばにいたらいい。
ただ、アイツがもう一度姫乃を泣かすことがあれば……どんな手を使ってもアイツからお前を奪うから」
「史、斗さん…」
背中に回した手の力を、さらに強くした
「混乱させてごめんな、でも我慢できなくて……」
すぐそこにいる壱斗に聞こえないように声を押し殺して泣いた
……壱斗の声はもう聞こえなくて…
私はひたすら、史斗さんの腕の中で泣いていた
……あんなところを見られた手前、史斗さんの目を見るのはどうしても恥ずかしい。
赤くなって俯いていると、史斗さんは優しくわらって頭にポンと手を置いた。
……その手から、また元気をもらう
壱斗が私を見ていないのなら、見てもらえるように努力すればいい
そうだよね?史斗さん……
*