Sweet*Princess
2*彼女の幸せ
ゴクリ……
明るいネオンの下で、生唾を飲み込む。
未成年だし、しかも制服……
勢いで来たのはいいけど、入れるわけないよね。
私、バカじゃん……
それに、チラチラと周りの目が痛い。
やだ……っ
怖くなって、走り出そうとした時
「咲華さん!」
聞いたことのある声
聞いたことのある名前
また頭が警報を鳴らす
『見てはいけない』と
でも、身体が言うことを聞かない……
声がしたほうを見ると
「あ…」
見慣れた明るい色の髪
スラッと伸びた手足
「雅斗さ…」
そして雅斗さんが手を差し出す
その手に自分の手を重ねる女性
「いらっしゃいませ、咲華さん」
あの人が
あの綺麗な人が
「相変わらず、あなたは壱斗に似てるわ」
咲華さんは雅斗さんの頬に手を添えて言った。
「違うよ、咲華さん。壱斗が俺に似てるんだ。それに、……咲華さんの目からはすべての男が壱斗に見えるんだ」
やめて
やめてよ…
「そうなのかもしれないわ」
そんなこと言わないで
二人が愛し合ってるように聞こえる
私の入る隙がないように思ってしまう
やめて……!!
その場に崩れ落ちそうになった時
綺麗な瞳がこちらを向いた
ゆっくり重なる視線
私は、動かない足を必死に動かして走り出した
*