Sweet*Princess



「雅斗さん……ッ」


激しいキスをされた後、ギュッて抱き締められた。


力強い腕。


こばめないよ……



「姫、姫……」


力強い腕とは逆に、少し弱々しい声。


私が雅斗さんをこんな風にさせてるの?


……雅斗さんは、本当に私を想ってくれてるの?



気持ちを利用するみたいで嫌。


でも、今だけは誰かにすがりつきたかったの。



その『誰か』が雅斗さんであることも、必然である気がする。



「雅斗さん……壱斗と咲華さんは、愛し合ってるの?」


雅斗さんは、今までに見たことがないような悲しい顔をした。



「ごめんなぁ……俺のせいなんだ」


雅斗さんの、せい……?



「俺が支えるから。姫を支えるから俺にしとけよ……二人はきっと、愛し合ってるから…」



その言葉を聞いた瞬間、涙がぶわって溢れ出して


雅斗さんの綺麗な顔が見えなくなった。



「雅斗、さ……ッ」



ねぇ、壱斗


二人の思い出は


二人の想いは



偽物だったの?



温かくて幸せな



泣けるほど幸せな



夢だったのかなぁ……?




*
< 188 / 231 >

この作品をシェア

pagetop