Sweet*Princess
ある高級マンションの一室。
私は雅斗さんにギュッて抱き締められながら、涙を流していた。
雅斗さんは時々私の涙を拭き取って頬にキスをした。
この部屋は
どこに行っても雅斗さんの香水の匂いがする。
壱斗とは違う匂い。
今はこの匂いに安心する。
ここは雅斗さんがお客様に買ってもらった部屋らしい。
さすがナンバーワンだなぁ…って、少し驚いた。
ここなら誰も来ないから、しばらくここにいていいよって雅斗さんは言った。
史斗さんと斎藤さんしか知らないらしい。
壱斗の顔を見なくていいことにすごく安心した。
今は、壱斗の顔を見るのは辛すぎるから。
「姫ちゃん、落ち着いた?」
「はい……ありがとうございます」
「そっか。……じゃぁ、俺は帰ろうかな」
一人にしないで
そう思ったけれど、そこまで甘えるのは迷惑だと思って言えなかった。
……でも
雅斗さんにはわかってしまうんだ。
「すぐ帰ってくる。そばにいてあげる」
「雅、斗さん…」
雅斗さんは両手で私の頬を包み込んだ。
「…けじめ、つけてくる」
「けじ、め…?」
「うん、けじめ。」
雅斗さんは綺麗な笑顔を見せて、私に軽くキスをした。
*