Sweet*Princess
「雅、斗…」
後退りした俺を見て、涼子さんは悲しそうな顔をした。
「黙っててごめんね、雅斗……離れたくなかったから、言えなかったの…ごめんね……」
下を向いて涙を溢す涼子さん。
俺は思わず、涼子さんを抱き締めた。
「離れねぇよ…確かにビックリしたけど」
「ほんと?」
「あぁ、ほんとだよ」
一度離れても、たぶんまた戻ってきてたと思う。
麻薬のように、俺の身体を蝕む。
でも……、涼子さんとならどこまでも堕ちていける。
そう、思ってたんだ……
ギュッと手を握る。
今にも折れてしまいそうな細い指。
好きだったよ、全部…
「その好きな娘は、どんな娘なの?」
「可愛くて優しくて素直な娘だよ。………悪いところは、俺の弟を愛してるところだけ」
苦笑いすると、涼子さんは悲しそうな顔をした。
「またあなたは、難しい恋をするのね」
……確かにな。
俺ってばモテるのに、叶わない恋ばかり。
涼子さんに、姫ちゃんに。
「バカだなぁ、俺」
……でも、後悔はしてないよ。
涼子さんと愛し合ったことも
姫ちゃんを好きになったことも
*