Sweet*Princess



学校の玄関に入り、下駄箱に背を預けて大きく息を吐き出した。



『姫ちゃん、好きだよ』


昨日雅斗さんに言われた言葉


それと同時に


『咲華さんのことになると、今でも胸が震える』


キャンプの日の壱斗の言葉が甦る。



結局は私の片想いで─……



好きなのに


大好きなのに



雅斗さんを好きになってしまえば楽になるんじゃないか……


そんなずるいことを考えてしまう。



「はぁ、最低…」


ほんとに最低だ、私は。



美帆に言ったら怒られるかな?


でも……


聞いてほしいよ、誰かに。


この行き場のない気持ちを……




教室に向かって歩きだした時。



「姫乃ちゃん?」


どこかで聞いたことのある声がした。


「美、園さん…」


相変わらず綺麗な人。


でも、今は会いたくなかったな……



「昨日どうかしたの?」


「え?」


「壱斗から電話かかってきたの。姫乃ちゃんが帰ってこないし、電話にも出ない、って」


電話…?


鞄から携帯を取り出す。


そういえば、昨日携帯一度も見なかった……



*
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