Sweet*Princess
2*過去と向き合うこと
壱斗を想って泣く彼女。
その背中はあまりに小さく
その涙はあまりに冷たい。
……ムカつく
納得いかねー。
なんでだよ
壱斗、バカだよマジで……
好きなんじゃなかったのかよ
俺は姫乃から離れて、ある人物に電話をかけた。
「雅斗!」
「おう。忙しいとこ悪ぃな」
「いや、姫乃は?」
「ベンチに座ってる。……ずっと泣いてるから、史斗、傍にいてやって」
「……いいけど、雅斗はどこ行くんだ?」
「俺は……壱斗の話聞いてくる」
俺と同じ気持ちの史斗なら、わかってくれるよな?
俺の怒りを
……壱斗にじゃなく、自分自身への怒りを……
「……わかった。姫乃は、俺に任せて」
史斗は俺の肩にポンと手を置くと、姫乃のところへ向かった。
そして俺は歩き出す。
過去と
弟に
向き合うために……
*