Sweet*Princess
3*運命の人
私は結局雅斗さんには電話をせずに、ある場所へ向かっていた。
この大荷物では少し歩きにくいけれど、どうしてもあの場所に行きたかったんだ。
「ふぅ、疲れたぁ……」
綺麗な景色を見ると、心が洗われる気がする。
「こんにちは、美沙さん」
私が来たのは、美沙さんのお墓があるあの丘の上だった。
「美沙さん」
ねぇ、私の決意、間違ってるかな?
大好きな人と離れる、この決意は間違っているのかな?
「美沙さん、私。壱斗が大好きだよ。これからもずっと」
だから、壱斗から
麻生家のみんなから、離れます。
ソワソワと、優しい風が吹いて
それはまるで美沙さんが私を応援してくれているかのようで。
私は自然と笑顔になれたんだ。
「よし、帰ろう」
私は立ち上がって、雅斗さんの部屋への道を歩き出した。
ここからなら、なんとか道はわかる。
支えてくれたあの人に、ちゃんとお礼を言わなくちゃ。
*