Sweet*Princess



「姫乃様、お荷物はこちらで以上でございますか?」


「はい、そうでございます…」



母のありえない発言から一夜が過ぎ




私は今、明らかに怪しげな黒いスーツと黒い車の男の人達に拉致られてます。






昨日の夜



「実はお父さんの会社のお得意様が、息子さんのお嫁さんを探してるって話で……」



母はバツが悪そうにぶつぶつ呟く。



「ご先方にあなたの写真見せたら“こんな可愛い娘さん、うちの息子にもったいない”なんておっしゃりながら嬉しそうだったらしくて…



お願い!うちちょっとピンチなの!だからお願い、お嫁に行って〜!!」



頭がフラフラするくらい肩をガクガク揺さ振られ、



すぐ前に見えるのは母の泣き顔。


こんな状況で良心が痛まないわけがなく。





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