Sweet*Princess


斎藤さんはいつの間にかコーヒーを飲み終えて、私をじっと見ていた。



「新しく家族になったのは父親と兄。二人とも優しくて…、きっとみんなで幸せになれる。そう思ったんです」





でも、私のその夢は、あっけなく壊れる。









「同居して、3ヵ月くらい経った日。父と母が二人で外食をしに行きました」


すごく幸せそうな二人を、私は笑顔で見送った。


私もすごく、幸せな気持ちで。














「両親が出て行ってすぐ、兄が私の部屋に来ました。初めは他愛もない話で。学校のこととか、恋愛のこととか」



ずっと一人っ子だった私は、お兄ちゃんができて嬉しかったんだ。




……なのに。







「なのに急にベッドに押し倒されて。泣き叫ぶ私を見て、嘲笑うかのように兄は私の身体を犯した…!」



今だに頭が痛くなる。


好きでもない人に、しかも兄と慕ってた人に





無理矢理犯された。




痛い…頭が痛い!




「山内さん…大丈夫。大丈夫だから」


いつの間にか斎藤さんの腕の中にいて


優しい声が耳に響く。



冷めきった体が優しさで、埋め尽くされていく……


.
< 37 / 231 >

この作品をシェア

pagetop