Sweet*Princess
斎藤さんはいつの間にかコーヒーを飲み終えて、私をじっと見ていた。
「新しく家族になったのは父親と兄。二人とも優しくて…、きっとみんなで幸せになれる。そう思ったんです」
でも、私のその夢は、あっけなく壊れる。
「同居して、3ヵ月くらい経った日。父と母が二人で外食をしに行きました」
すごく幸せそうな二人を、私は笑顔で見送った。
私もすごく、幸せな気持ちで。
「両親が出て行ってすぐ、兄が私の部屋に来ました。初めは他愛もない話で。学校のこととか、恋愛のこととか」
ずっと一人っ子だった私は、お兄ちゃんができて嬉しかったんだ。
……なのに。
「なのに急にベッドに押し倒されて。泣き叫ぶ私を見て、嘲笑うかのように兄は私の身体を犯した…!」
今だに頭が痛くなる。
好きでもない人に、しかも兄と慕ってた人に
無理矢理犯された。
痛い…頭が痛い!
「山内さん…大丈夫。大丈夫だから」
いつの間にか斎藤さんの腕の中にいて
優しい声が耳に響く。
冷めきった体が優しさで、埋め尽くされていく……
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