Sweet*Princess
「それから兄は…ッ、両親がいる時にも私を犯すようになって…」
うん、うん。って耳元で斎藤さんの声がする。
冷たいけれど、ほんとは優しいって気付いてたんだよ?
ねぇ、斎藤さんー……
「母は気付いてたのに、助けてくれなかった!自分の幸せが壊れるのが嫌だから!」
母に助けを求めた時、瞳を揺らして“そんなの信じられないわ”と言った。
その瞬間、私は絶望の闇を見たんだ。
「それで家出?」
「はい……父が、お金の援助をしてくれてるんです。ここの家賃も父が」
「そっか。お父様は優しいんだ」
「はい……大分忘れたんですけどね?やっぱりまだ男の人は……」
「そりゃそうだよ。ゆっくり慣れていけばいい。ゆっくり……」
それは、斎藤さんが近くにいて助けてくれるってこと?
それとも………
「って、あ!斎藤さん、言葉遣いが丁寧じゃない!」
「あ………」
「ハハハ♪初めて聞いた~」
「………もう笑ってるし」
「え?」
「いや、何でもない」
斎藤さんは不自然に口籠もる。
ま、いっか。
斎藤さんの腕の中、幸せだし。
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