Sweet*Princess
「じゃぁ、俺そろそろ…」
「え…、やだ…」
「え?でも……」
「お願い、斎藤さん」
「……~~わかった」
「やった!コーヒーもう一杯入れて来ますね」
バタバタ走り去る美帆の背中を見つめながら
「女ってわかんねー…」
と、斎藤は呟いたのだった。
「はい、斎藤さん……って、かっこいい!」
「は?何が?」
「ネクタイ緩めてるの……」
「それがかっこいいの?」
「はい……」
「ハハ!意味わかんねぇ。お前面白いな」
「笑った……」
「お前、そんなのでわざわざ反応すんなよ」
斎藤がコーヒーを持った瞬間。
「だって笑顔かっこい……キャア!」
その腕を美帆が掴み、コーヒーがこぼれてしまった。
「っツ!」
「ご、ごめんなさい!いっぱいかかっ…て…」
二人の視線が絡み合う。
そして徐々に近付き
ゆっくり重なった……
「ん…斎藤さん…」
「亮佑……」
「亮…佑……亮佑!」
「美帆…」
美帆の甘い声と
亮佑の荒い吐息が
広い部屋に響き渡る。
何かが動く、満月の灯りの中で……
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