Sweet*Princess
「姫乃、斎藤と仲いいね」
「そんなことないです!天敵ですよ、天敵!」
「ハハ」
壱斗は笑うけど、ほんとにムカつくんだから!
「美帆…ちゃんは?」
「駅から乗るらしいです。家は遠回りだから駅まで出て来いって斎藤さんが」
冷たいですよねー。って言うと、壱斗はなぜかニコッて笑って運転中の斎藤さんに詰め寄った。
「斎藤、ほんとにその理由?」
「なんのことでしょう?」
「テレんなよ」
「………やっぱり私は壱斗様は苦手です」
「ハハハ」
なんて会話を二人が交わしていることにも気付かず、私は美帆がいるはずの駅を今か今かと楽しみにしていた。
「あー!美帆発見!」
駅に着くと、長い髪を大人っぽく巻いた美帆が立っていた。
うん、やっぱり美帆は綺麗だね!
これで斎藤さんも惚れること間違いなし………って、え?
私が見た斎藤さんは、いつも通り無表情なのだけれど
心の中が泣いているような、悲しい顔に見えた。
なのに美帆を見つめる瞳は優しくて。
……二人の間に、何かあった……?
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