Sweet*Princess
3*つり合わない
「あ!壱斗じゃん!」
壱斗と手を繋いで歩いてると、騒がしい女の人の声が聞こえた。
「え、あぁ……」
壱斗は少し顔を歪ませた。
それに気付かない3人組の女の人は、私がいない方の腕をベタベタ触っている。
「ねぇ、壱斗!私達と一緒に遊ぼうよ!」
「そうだよ!壱斗がいたら絶対楽しいもん」
すごく勝手なことを言う女の人達に、壱斗の顔がまた歪んでいく。
ねぇ、なんで気付かないの?
「壱斗、嫌がってます」
いきなり口を開いた私に、女の人達はキッと睨みをきかせた。
壱斗は驚いた顔してこっち見てる。
「壱斗が嫌がってるの、見ててわからないんですか?」
「何、あんた。壱斗優しいもん。嫌がるわけないじゃん。」
「てゆーか、あんたがいんのが嫌なんじゃん?」
……は?
「お前ら、何言って…」
「“婚約者”とか言われて調子乗ってんじゃねーよ。」
「てかさ、鏡見てわかんない?あんたと壱斗、つりあってないよ」
“つりあってない”?
そんなこと、前から知ってるよ。
なんで、あんたに言われなきゃなんないの。
「ごめ、壱斗。ちょっとトイレ行ってくる」
「え?あ、姫乃!」
壱斗の声を無視して、走りだす。
だって、涙出そうなんだもん。
てゆーか、もう出ちゃってる。
私、惨めだなぁ…
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