Sweet*Princess
行かないと。
姫乃が、泣いてる。
なのに、腕を掴まれて動けなくなってしまった。
「ッ!離せ…!」
「あんなのいいじゃん。私らと遊ぼうよ」
「そうだよ。カッコ悪いよねぇ、あいつ泣いてたよ」
「ほんと!鏡見てから出直してこいって感じ!」
下品に笑うそいつらに、正直殴ってやりたいくらいの憎しみが込み上げる。
「てめーらさ…、馬鹿なこと言ってんじゃねーぞ」
「え?」
いつもと違う俺の雰囲気に、明らかに怯んでいる。
てか俺は、こいつらの前で笑った覚えもないんだけど。
「姫乃が泣いてんの見てカッコ悪いだと?………殺すぞ」
思い切り、カッコ悪いと言った女を見下ろす。
冗談で言ってると思ったのか、周りの女は笑いだす。
「冗談じゃねーんだけど。」
そいつらのことも睨むと、笑うのをやめてゴクッと喉を鳴らした。
「なんか…、いつもの壱斗じゃない…」
何言ってんだ、こいつ。
「お前は俺の何を知ってるわけ?」
「いつもの壱斗は、優しくて穏やかで…」
「お前らに優しくした覚え、ない。」
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