Sweet*Princess

うわぁ、ヒドイ顔。



トイレの鏡で、泣きはらした顔を見るとさっきの人に言われたことにも納得してしまう。



「ハハッ。」



邪魔しちゃうかもだけど、美帆と斎藤さんのところ行こうかな。



そう思ってトイレを出ると、息を切らした壱斗が立っていた。





「姫、乃…ごめんッ」



気付けば壱斗に、抱き締められていた……







壱斗の心臓、ドクドクいってる。


どんだけ走って来たの?



ねぇ、壱斗ー……




「ごめん…ほんとごめん…」



「壱斗が謝ることないよ」




抱き合ってる私達は、周りから注目受けまくりだけど




恥ずかしさなんて、壱斗の温もりで消えて行った。




壱斗の温もりと香りに包まれながらも私の頭の中では、さっきの女の人の言葉がぐるぐる回っていた。





“壱斗とあんたはつりあってない”





今まで漠然と感じていた不安を、目の前に突き付けられた気分だ。



「ほんとごめん…」



「大丈夫!気にしてないから」




……嘘。ほんとはすごくすごく気にしてる。



でもそんなこと言ったら、あなたは私以上に傷付くでしょう?




すごく、すごく優しい人だから。





「帰ろう、壱斗」



「うん」





また手を繋いで歩き出す。




この時の私の頭の中は、不安に押し潰されそうで。





二人の未来も、壱斗の気持ちも見えていなかった。





ねぇ、壱斗。この時は気付かなかったけど、私もうあなたのことが好きだったんだ。


















あなたと離れて初めて気付いた。


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