Sweet*Princess
いっぱい話して、わかったこと。
佐藤さんは、近くの超有名大学に通う、19歳。
一人暮らしをしているらしい。
地元はすごく田舎だって、笑ってた。
そして事故に遭遇したあの日は高校に行こうとしていたらしい。
私を抱き締めてくれた人、どこのかわからないけど制服だった。
絶対、この人に間違いない。
「そろそろ出ようか?もう6時だし」
「え?!全然気付かなかった!」
「俺も。時間忘れるくらい楽しかった」
はにかんで笑う佐藤さん。
こんな人、絶対モテるんだろうな……
「あ、そういえば。姫乃ちゃん家、門限とかない?」
「…ッ」
壱斗の笑顔が、頭を掠めた。
でも思いっ切り頭を振って、外に追いやる。
「ないと思います!…たぶん」
「たぶん?!姫乃ちゃん面白い娘だなぁ」
佐藤さんは横で笑っているけれど、私は原因不明の胸の痛みのせいで、うまく笑えなかった。
「姫乃ちゃん?」
「はい?」
「彼氏とか、いるの?」
また、壱斗が頭に浮かぶ。
壱斗と私は、どういう関係なんだろう。
一緒にいるのに、気持ちはなくて…
何も答えない私に、佐藤さんは苦笑いしてやっぱいるんだって、笑った。
「いない、です…」
*