Sweet*Princess
4sweet*二人の幸せ
1*からっぽな心
「今日どこ行く?」
「うーん……とりあえず涼しいとこ行きません?暑くて…」
「確かに。じゃぁ、あそこのカフェ入ろっか」
「はぁーい…」
あれから2週間が過ぎて、もうすぐ夏休みが始まろうとしている。
壱斗と私が別れたと聞いて(実際、付き合っていたのかもわからないけれど)、壱斗ファンは更に加熱していた。
私は徹底的に壱斗を避けていたから、姿を見ることもあまりなかった。
でもキャーキャー聞こえるほうに目を向ければ、必ず壱斗がいる。
壱斗は相変わらず、自分はモテないってニコニコしてるのかな?
それを想像しただけで笑みが洩れる。
……私、かなり重症みたいだ。
「姫ちゃん、何がいい?」
「んー、じゃぁオレンジジュース」
「わかった」
店員さんを呼んで、私の分までオーダーしてくれる。
気遣いのうまい人だ。
「姫ちゃん、お兄さん元気?」
「へっ…?」
突然の質問に目を丸くする。
お兄、さんって…、壱斗のことだよね?
「あ、うん…たぶん」
「たぶん…って」
佐藤さんは、無邪気に笑う。
ここは嘘を突き通すべきなんだろうか。
*