Sweet*Princess


「姫ちゃんは本当の娘のように思っていたから、会えて嬉しくて。引き止めてごめんなさいね」


「いえいえ、私も本当のお母さんみたいに思ってたから」



私がそう言うと、お母様は嬉しそうに笑った。


笑顔を見て、壱斗を思い出した。




「壱斗はね…、私の夫に似てるのよ。つまり、壱斗の父親に」


「そう、なんですか…」


「純粋で一途で真っ直ぐで不器用で。私は夫の、そういうところに惹かれたわ」



穏やかに笑うお母様の表情から、お父様への大きな愛情が伝わってくる。


まさに、理想の夫婦像。




「あの人ね、今はあんなだけど…結婚する前は太ってたの」


嘘……


「信じられない…」


だって、今すごくスラッとしててすごくダンディーでカッコいいのに……



「そうでしょ?私も初めは信じられなかったの」



今だに驚いた顔の私に、お母様は少し笑みを洩らした。




「付き合う前にね、私意地悪で彼に言ったの。“太い人より細い人のほうが好き”って。私は彼のことが好きで、彼の気持ちも知ってたんだけれどね」



お母様は愛しそうに目を細める。


お母様は今でも、お父様に恋をしてるんだ……



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